ソルの17番と19番(ギターの話17)
セゴビア編によるソルの20の練習曲は、『ギターのベートーベン』と言われるこの作曲家が書いた、数あるエチュードの中から、世紀の巨匠が任意に選び出したものである。
技術的にやさしい曲から並べているわけではないが、16番からの5曲は、コンサートやCD(昔はLP)でも聴く機会が多い。
この17番は、N・イエペスの『クラシックギターの至芸』(だったと思う)に収録されたのが、初めてではないかと思う。イエペス27歳のときの録音で、初めて聴いたとき涙が出るほど感動した。
その後、1970年代中盤くらいに、『ソルの24の練習曲』のタイトルで録音したものにも入っているが、前者の演奏には叶わない。瑞々しさが違うのである。これは10弦ギターの音色にもよるかもしれない。
『至芸』のLPには全曲楽譜が付いていた。小さくて見づらいが、いまも持っている。これは大学時代に神田の古書街でLPを見つけて、衝動買いしたが、あいにく、楽譜は持ち主が一部切り取っていてなくなっていた。
前置きが長くなった。この17番習得の狙いはアルペジオにある。しかし、a(薬指)-i(人差し指)-m(中指)の繰り返しが基本なので、慣れないうちは、この指の順番がとても難しい。
というのも、a(薬指)で弾いた後にi(人差し指)がすぐ反応せずに間が空く。しかしi(人差し指)を動かすとm(中指)はすぐに連動するから、3つの音が等間隔で鳴らないのである。
経験者ならお分かりだと思うが、薬指は普段使わないので、ギターを弾くときも動きが鈍くなる。それに、17番は後半にかけてメロディラインをアポヤンドするよう指定しているから、なおさら難曲になる。「アポヤンドの繰り返しだからといって、甘く見るなよ」という警告を発している練習曲である。
しかし、この曲の持つメロディは、誰に聴かせても『良い曲だねえ』と好感される。いままた練習しているが、何十年も弾いてきたせいか、運指はしみついているのが自分としては嬉しい。映画のバックにも時々使われるので、聴かれた方も少なくないと思う。
一方、19番もアポヤンドの単純なリピートではあるが、課題はセーハにある。とにかく速度指定が「Lento」で、ゆっくり、しかも音をしっかり出さないといけない。しかし左手の運指で随所に厳しい箇所があり、それをセーハで抑えなければいけない。
普通に弾き終われば3分くらいで終わるが、ほとんどセーハしながら抑えるところばかりなので、ミスなく弾いたとしても、しばらくは左手の握力がなくなるほどきつい。個人的にはこの19番が、20の練習曲のなかで最も難曲だと思う。
変ロ長調(だと思うが自信がない)という、味わいある調で、これもジーンと来る名曲である。
偉そうだが、この2曲をミスなく、クリアな音色でテンポを守って弾ける人は、相当の腕前といえる。私はまだ、ノーミスという域までは達していない。
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